悪魔の証明~「やっていない」を証明する難しさ

a woman proof reading a script

こんにちは
東京主信仰教会のなおこです
私が子どものころ、ネッシーとかツチノコとか、幻の生き物について特集されたものをたくさん見ることがありました。あれは結局、いるんでしょうか、いないんでしょうか。

それでもボクはやっていない

2007年1月20日に公開された日本映画です。突然痴漢の疑いをかけられ、自らの濡れ衣を晴らそうと立ち向かっていく主人公の話です。現代の刑事裁判における問題点に焦点を当て、痴漢の冤罪事件裁判に立ち向かう厳しい現実を非常にリアルに描いた作品となっています。「何もやってないんだから無罪に決まってる」。そして判決の日、信じられない判決が下されます。判決は有罪。懲役3か月執行猶予3年でした。裁判長が最後に「この判決を不服とするものは14日間以内に控訴できる」と伝えると、主人公はすかさずこう答えました。「控訴します」。

この裁判の結末はどうなっていくのでしょうか。
痴漢を「した」という証明は、動画に撮ったり、複数の目撃者をみつけたり、やった証拠をみつければ立証できるのでしょうが、「していない」という証明って、難しいですよね。やっていないという目撃者を見つけたとしても、「あなたの位置から見えない場所でされたんです」と言われてしまえば終わりですから。

99.9-刑事専門弁護士-

TBS系列「日曜劇場」枠で2016年4月期に放送された日本のテレビドラマシリーズです。刑事裁判における有罪率は99.9%。残された0.1%の事実に挑め。

ま、数字の出し方は別として、この「99.9%」という有罪率を、「0.1%しか無罪がでない」と単純に理解して良いのでしょうか。有罪無罪の審理は裁判において行われるはずが、実のところ起訴された時点ですでに有罪が決定しているかのような実情があるという意見もあります。

スマイリーキクチ中傷被害事件

芸人のスマイリーキクチさんが「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の実行犯であるなどとする誹謗中傷被害を長期間にわたって受けた事件です。「キクチが過去に殺人事件に関与している、あるいはその犯人の一人である」とある一人がインターネット掲示板に書き込んだことで、当時のネット利用者の間で彼に対する殺人事件関与の疑惑が強まった結果、そのまま既成事実としてネット上で扱われるようになっていきました。そのことで彼は仕事をうばわれただけでなく、様々な誹謗中傷によって傷つけられることになります。

根も葉もないことでやいのやいのいわれるなんて。火もないのにもかかわらず煙が出ているといわれるなんて。無実であるにもかかわらず「こいつが犯人だ!」と決めつけたり、誰かを傷つけてしまうこと、正義だと思って他者をせめてしまうこと、そういう出来事がなくなるといいな…と思います。

Winny

Winny事件を題材とした映画です。Winny事件とは、ファイル共有ソフト「Winny」に絡む著作権法違反(公衆送信権の侵害)を問われたものの、無罪となった刑事事件です。アプリケーションソフトウェア利用者だけではなく、開発者も、逮捕・起訴されたことで、情報産業従事者以外からも注目された裁判となりました。無実判決とはなりましたが、開発者である金子さんは42歳という若さで亡くなりました。

金子さんの弁護団の事務局長である壇俊光弁護士は以下のようなコメントを残しています。
「当時、警察はかなり無茶な捜査をして、虚偽自白まで取って何とかして逮捕までこぎつけた。並々ならぬ覚悟で金子さんを有罪にしようとしていた。裁判では、検察官は“意図”を問題視していた。ずっと、金子さんに『悪いものを作った意図はない』と認定されているのに、1審で有罪になった。『ファイル共有ソフトは悪用されている。Winnyはファイル共有ソフトだ。だから犯罪幇助だ』という理論だ。判決時、僕は怒鳴りそうだった。これが日本の刑事司法の闇の深い所で、何の基準を巡って戦っているのか、判決が出るまで分からない」
「誰かが、不特定多数の人が悪いことをするかもしれないと知っていて、技術を提供した者は幇助なんだということを、裁判所が真っ向から認めてしまった。これは絶対変えなければならない。高速道路でみんなが速度違反をしていることを知っていたら、国土交通省の大臣は捕まるのか」
「1審の裁判官は、京都大学の理学部を出ていたから分かっている。ただ、理解しているかどうかで、有罪・無罪を決めるわけではない。裁判官は基本的に検察が起訴したら有罪にしたくて仕方がない生き物だ。それをひっくり返すのは、99.9%難しい」

インフルエンサーのひろゆきさんは「情報漏洩事件があって『Winnyを使わない方が良い』というニュースが出た。その情報漏洩を起こらなくするための開発を、金子さんが逮捕されたことでできなくなった。今だとP2Pの仕組みが仮想通貨で使われている。あれを金子さんや日本の技術者がちゃんと広げていたら、今頃日本のITはもっと良くなっていたはずだ」とコメントしていました。

障害者郵便制度悪用事件

この事件の被告として起訴された村木厚子さん。しかし、実際は村木厚子さんはこの件には関わっておらず、それどころか検察が証拠を改ざんするという、冤罪逮捕事件であったという真相が暴露されました。事件の争点となる証明書の作成権限があった村木厚子さんが、その指示を行っていたのか。このことに関して、村木厚子さんを知る関係者の多くが、そのことを否定する自体になったのです。そのため村木厚子さんは、一審判決で、指示は認められないという判決がくだされました。しかし、この無罪判決に対して、検察側は控訴を断念します。この控訴断念こそが、事件のある真相を物語っていたのです。まさかのまさか、検察側が証拠を改ざんしたことが、朝日新聞によってスクープされたのです。結果的に、村木厚子さんは完全無罪となりました。

当時は村木厚子さんを犯人扱いする報道ばかりで、世間も疑いの目で見ていました。それほどまでにメディアの力は強いし、メディアに踊らされた人による冷たい目は厳しいものです。事実無根を証明しても疑う人は疑うし、汚名は消せない。自分が犯した罪から逃れようと、無実な誰かを陥れることも、あるんだよね。

冤罪よ、なくなれ!

この世から冤罪がなくなりますように。冤罪によって傷つく人がいなくなりますように。

Our prime purpose in this life is to help others. And if you can't help them, at least don't hurt them.
(私たちのこの人生における主な目的は、他の人を助けることです。 そして、彼らを助けることができない場合は、少なくとも彼らを傷つけないでください。)

Dalai Lama

人間は弱いから、「この人が悪い!」というのを聞いて、いくつかのそれらしい証拠のように見える何かを見て信じてしまって、その「悪い」とされるものから身を守ろうとすることはしょうがないと思います。

この人は無実なのではないかと思う人がいるならば、全力で助けてあげてください。それができなくても、その人をほかの人と一緒になってせめたり傷つけたりすることはしないでください。加勢・加担しないということも、大きな働きになることがあるから。

※今回上に挙げた事件や映画の内容について,なおこも100%熟知している内容ではありません。「これは違うよ」「その解釈は事実と違っているよ」という部分がありましたら、やさしい言葉でコメントに残していただけると嬉しいです。

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